症例報告
肝外限局型原発性硬化性胆管炎の1例
鈴木 伸康, 阿部 幹, 斎藤 拓朗, 土屋 貴男, 佐藤 佳宏, 見城 明, 山田 文彦, 大須賀 文彦, 後藤 満一
福島県立医科大学第1外科
肝外胆管に限局し胆管癌との鑑別に難渋した限局型原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis;以下,PSC)の1例を経験したので報告する.症例は58歳の男性.主訴は全身倦怠感.発熱と肝機能障害を認め,内視鏡的逆行性胆道造影では中下部胆管に全周性でなだらかな狭窄像,超音波内視鏡では同部に胆管壁肥厚像を認めた.抗核抗体,抗ミトコンドリア抗体は陰性.胆管癌あるいは炎症性胆管狭窄の診断で手術を施行した.術中胆道内視鏡では胆管粘膜に異常を認めず,胆管内超音波内視鏡(intraductal ultra-sonography;以下,IDUS)では内層低エコーの均一な肥厚を認めた.胆管狭窄部を一部全層性に切除した胆管壁の病理診断では悪性所見を認めなかった.胆管狭窄は中下部胆管に限局していたため,胆管切除術および胆管空腸吻合術を施行した.切除胆管の病理診断では胆管狭窄部に高度の線維化と炎症細胞浸潤を認め,限局型PSCと診断した.
索引用語
localized primary sclerosing cholangitis, intraductal ultrasonography
別刷請求先
後藤 満一 〒960-1295 福島市光が丘1 福島県立医科大学第1外科
受理年月日
2002年3月27日
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