症例報告
蛋白分解酵素阻害剤+抗生物質持続動注療法および後腹膜ドレナージ術にて救命しえた小児重症急性膵炎の1例
坂田 直昭, 渋谷 和彦, 阿部 忠義, 三上 幸夫, 元井 冬彦, 山内 淳一郎, 砂村 眞琴, 武田 和憲, 松野 正紀
東北大学大学院消化器外科学
今回,我々は蛋白分解酵素阻害剤+抗生物質持続動注療法で全身状態が改善した後,後腹膜腫瘍に対して後腹膜ドレナージを施行した小児急性膵炎症例を経験した.症例は9歳男児.肺炎で近医に入院,抗生物質で軽快したが,退院翌朝から腹痛が出現,重症急性膵炎の診断で動注療法を開始した.全身状態の改善が得られたが,発症後7週で高熱が出現した.腹部CT上膵体尾部から脾門部にかけてlow density areaを認め,needle aspirationにてMRSAが検出されたため,後腹膜ドレナージとデブリードマンが施行.術後,開放創の洗浄を行い,発症後18週で退院となった.小児の場合も発症早期の局所制御に対して蛋白分解酵素阻害剤と抗生物質の持続動注療法が有効であり,さらに,発症中~後期に合併した後腹膜膿瘍に対しては,開腹操作を必要としない後腹膜からのドレナージが有効であったと考えられた.
索引用語
severe acute pancreatitis in a child, continuous arterial infusion therapy, retroperitoneal drainage
別刷請求先
渋谷 和彦 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学大学院消化器外科学
受理年月日
2002年2月27日
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