症例報告
膵体尾部欠損症に合併した下部胆管癌の1例
金住 直人, 竹田 伸, 三好 幸次, 金子 哲也, 中尾 昭公
名古屋大学第2外科
膵体尾部欠損症に下部胆管癌を合併した極めてまれな1例を経験したので報告する.症例は47歳の女性.糖尿病にて近医通院中,倦怠感出現し血液検査にて,肝機能障害を認めたため精査施行された.腹部エコーにて下部胆管に14mm大のhigh echoic tumorを認め,ERCPでは総胆管末端に腫瘤状陰影欠損を認めた.主膵管は膵頭部のみ造影され,樹枝状に滑らかに終わっていた.背側膵管像を得られず,副乳頭も認めなかった.CTでは膵体尾部は描出されなかった.経皮経肝胆道鏡下生検にてgroup Vであった.以上より膵体尾部欠損症を伴う下部胆管癌の診断にて,幽門輪温存膵全摘術を施行した.膵体尾部は完全に欠損しており,脾静脈は露出していた.病理組織検査では高分化型管状腺癌であった.膵体尾部欠損症に胆管癌を合併した症例は,調べえた範囲内で本邦5例目であった.
索引用語
agenesis of the pancreatic body and tail, bile duct cancer
別刷請求先
金住 直人 〒444-8553 岡崎市高隆寺町字五所合3-1 岡崎市民病院外科
受理年月日
2002年2月27日
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