症例報告
単発性空腸憩室によるイレウスの1例
甲谷 孝史, 高野 信二, 宮内 勝敏, 河内 寛治, 古賀 繁宏*, 増田 潤*
愛媛大学第2外科, 宇和島社会保険病院外科*
症例は58歳の女性.主訴は腹痛・腹部膨満で,腸閉塞の疑いで当科に紹介された.小腸造影検査で十二指腸水平脚と空腸起始部に各々径2cmと1.5cm大の憩室を認めた.空腸憩室によるイレウスの診断で絶飲食,IVHからの補液・栄養管理,抗生物質投与および経鼻胃管による消化管の減圧を施行の後,手術を行った.手術所見では,Treitz靭帯より肛側約8cmの空腸に1.5cm大の憩室があり,空腸憩室は腸間膜対側に存在し,炎症性に横行結腸間膜根部に癒着していた.手術は,癒着剥離および憩室楔状切除術を施行した.病理学的には,憩室は真性憩室であった.術後経過は良好であった.単発性空腸憩室によるイレウスは比較的まれな疾患であり,文献的考察を加えて報告した.
索引用語
jejunal diverticulum, ileus
別刷請求先
甲谷 孝史 〒791-0295 愛媛県温泉郡重信町志津川 愛媛大学医学部外科学第2講座
受理年月日
2002年3月27日
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