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第35巻 第6号 2002年6月 [目次] [全文 ( PDF 103KB)]
症例報告

腹膜播種を伴う小腸GISTに対して化学療法が有効と考えられた1例

高野 学, 小野 要, 宮本 修, 秋山 裕人, 飯田 健一

稲沢市民病院外科, 同 病理科

 腹膜播種を伴う小腸GISTに対して化学療法が有効と考えられた1例を経験したので報告する.症例は54歳の女性で上腹部痛を主訴に当院受診した.初診時右下腹部に腫瘤を触れ,超音波検査,腹部造影CT検査で腹腔内に多数の腫瘤を認めた.上下部消化管検査にて所見を認めなかったため腸間膜腫瘍の診断で手術を施行した.主腫瘍は回腸に連なり,腹膜播種も認めた.病理学組織学的には紡錘形の腫瘍細胞が増殖しており,免疫組織学的にはvimentinおよびKit陽性であり,α-SMA,S-100蛋白,CD34は陰性でGISTと診断した.GISTは,消化管筋層内に存在しペースメーカー機能を持つCajal細胞に類似した分化を示す腫瘍である.術後CYVADIC療法に準じて化学療法を施行したところ術後1年9か月再燃を認めなかった.現在までの報告例の考察も含め報告する.

索引用語
gastrointesitnal stromal tumor, pacemaker cell tumor, Cajal cell

日消外会誌 35: 659-662, 2002

別刷請求先
高野 学 〒457-8511 名古屋市南区白水町9 大同病院外科

受理年月日
2002年3月27日

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