症例報告
糞線虫症に起因すると考えられた門脈ガス血症の2例
照屋 剛, 島袋 誠守*, 古堅 智則, 平良 一雄, 宮里 浩, 久高 学, 山城 和也, 与儀 実津夫
那覇市立病院外科, 北部地区医師会病院外科*
門脈ガス血症はまれで予後不良であり,病因もはっきりしていない.我々は糞線虫症に起因すると考えられた門脈ガス血症の2例を経験した.症例1は61歳の男性で,成人T細胞性白血病の加療中,食欲不振で入院しその後腹痛を認めた.抗HTLV-1抗体陽性のため,便培養を行い糞線虫が検出された.入院4日目に敗血症性ショックを呈し,腹部CTで肝内門脈ガス像と小腸拡張を認め,門脈ガス血症とイレウスと診断した.Thiabendazole投与などの保存的治療で軽快した.症例2は82歳の女性で,腹痛で入院した.腹部CTで腸管拡張と肝内門脈ガス像を認めた.保存的治療が無効で腸管壊死による門脈ガス血症と診断し,入院3日目に緊急手術を行った.回腸末端部に小腸壊死を認め,約80cm切除した.術後便培養で糞線虫陽性となり,thiabendazole投与を行い経過良好であった.糞線虫症を伴った門脈ガス血症の報告はこれまでなく,保存的と手術治療が有効であった.
索引用語
hepatic portal venous gas, strongyloidiasis, sepsis
別刷請求先
照屋 剛 〒902-8511 那覇市古島2-31-1 那覇市立病院外科
受理年月日
2002年3月27日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|