症例報告
著明な壁外発育を呈した大腸低分化腺癌の1例
石川 哲大, 中島 亮太郎, 高橋 修, 松坂 俊光
松山赤十字病院外科
大腸低分化腺癌は,深達度ではss以深の進行期癌が多く,他臓器浸潤を伴うような巨大腫瘍となる傾向もあることから,根治的切除が難しく高・中分化型のものに比べて予後不良とされる.
われわれは今回,50歳の男性の大腸低分化腺癌症例を経験した.横行結腸壁外まで著明に進展し,胃へ浸潤・穿通した腫瘍は根治切除不能と思われたが,大量出血と巨大膿瘍による高度炎症を来したため胃全摘,脾臓・膵尾部合併切除を伴う左半結腸切除によって腫瘍を摘除した.その後の再発に対する手術も他臓器合併切除とともに腫瘍の切除を行い,過侵襲とも思える2度の手術を要したが,術後2年経過時点では再発,転移なく健存中である.この経過から,腫瘍増大傾向が強く予後も不良とされる大腸低分化腺癌に対しても,腹膜播種や過度の肝転移がない場合には積極的な切除を検討すべきと考えられた.
索引用語
poorly differentiated adenocarcinoma, colon cancer
別刷請求先
石川 哲大 〒790-8524 松山市文京町1 松山赤十字病院外科
受理年月日
2002年3月27日
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