上行結腸癌異時性膵転移の1切除例

菅原　元, 山口　晃弘, 磯谷　正敏, 原田　徹, 金岡　祐次, 鈴木　正彦, 芥川　篤史, 鈴村　潔, 臼井　達哉

大垣市民病院外科

　症例は57歳の女性で，1997年1月に上行結腸癌に対して結腸右半切除術，1999年10月に右肺転移に対して右肺上葉切除術の既往がある．2000年5月に，血清CEAの上昇を認め，腹部US，CTで膵体尾部に腫瘤を認めた．逆行性膵管造影で，主膵管の途絶を認め，膵腫瘍の診断で膵体尾部脾合併切除術を施行した．腫瘍は8×5cm大で，組織学的には，結腸癌および肺転移巣と同様の中分化型管状腺癌の組織像を示し，通常の原発性膵癌と異なり間質成分が乏しく，病変部と非癌部との境界には線維化した被膜形成がみられ，上行結腸癌の膵転移と診断した．術後経過は良好で術後第31病日に退院した．その後，小脳転移が出現したが，これも切除し，原発巣切除後4年9か月を経たが，小脳転移切除後には再発はなく生存中である．大腸癌膵転移切除例の報告は本邦では調べえた限り，自験例を含め11例であり，文献的考察を加えて報告する．

索引用語
colon cancer, pancreatic metastasis

別刷請求先
菅原　元　〒503-8502　大垣市南頬町4-86　大垣市民病院外科

受理年月日
2002年2月27日

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