症例報告
門脈再建部閉塞に伴う消化管出血に対してexpandable metallicstentが有効であった1例
小池 伸定, 羽鳥 隆, 今泉 俊秀, 原田 信比古, 福田 晃, 高崎 健
東京女子医科大学附属消化器病センター外科
症例は39歳の女性.1995年2月門脈浸潤疑いの非機能性膵内分泌膵腫瘍に対し,門脈合併切除を伴う全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PpPD)を施行した.術後経過は良好であったが1995年7月よりタール便で出現し,血管造影で門脈再建部の狭窄とその周囲に求肝性の数珠状の側副血行路を認め,食道静脈瘤に内視鏡的硬化療法を施行したが,この後も吐血を繰り返しHassab's operationを施行,一時良好であったが再度消化管の出血を繰り返すようになった.出血の原因は側副血行路として発達した胆腸吻合部周囲の静脈瘤の破綻によるものと考え,根治的治療として,門脈再建部の狭窄部にExpandable Metallic Stent(EMS)を留置した.留置後1年経過後,EMS内の門脈血流は良好で,消化管出血は認められない.門脈合併切除例の晩期合併症として,本例のような再建部門脈狭窄や閉塞による繰り返す消化管出血に対する治療法として本法は低侵襲で,効果的な治療法と考えられた.
索引用語
Pylorus-preserving pancreatoduodenectomy, Expandable Metalic Stent, Portal vein stent
日消外会誌 35: 1394-1398, 2002
別刷請求先
小池 伸定 〒162-8666 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学附属消化器病センター外科
受理年月日
2002年5月1日
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