症例報告
肝内胆管嚢胞腺癌の1切除例
金住 直人, 鈴木 祐一, 本山 彩, 小林 大介, 加藤 公一, 江口 武彦, 木村 次郎, 石井 正大
岡崎市民病院外科
症例は59歳の女性.検診にて肝機能異常・胆道系酵素の上昇を指摘され,精査目的に入院となった.腹部CTにて肝内側区域に径4cm大の嚢胞性病変とその内部に不均一な造影効果を伴う乳頭状腫瘤を認めた.腹部MRIでは,T1強調像で低信号,T2強調像で高信号の嚢胞性病変を認め,嚢胞内にはT1強調像で肝組織よりやや低信号,T2強調像でやや高信号の乳頭状腫瘤を認めた.選択的血管造影では肝内動脈枝の圧排伸展および嚢胞の内部に結節状濃染像を認めた.以上より,胆管嚢胞腺癌の術前診断にて,拡大肝左葉切除,左尾状葉切除,胆嚢・肝外胆管切除,リンパ節郭清術を施行した.摘出標本では,4×3×5cm大の多房性の嚢胞性腫瘍を認め,その内腔には充実性組織が乳頭状に増生していた.嚢胞は,粘調透明な液体に満たされていた.病理組織学的に胆管嚢胞腺癌の診断であった.術後2年2か月経過した現在,再発の兆候なく健在である.
索引用語
biliary cystadenocarcinoma, hepatic cystic tumors, bile duct cystadenocarcinoma
日消外会誌 35: 1399-1403, 2002
別刷請求先
金住 直人 〒444-8553 岡崎市高隆寺町字五所合3-1 岡崎市民病院外科
受理年月日
2002年5月1日
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