症例報告
横隔膜正中切開による経裂孔的アプローチが有効と思われた特発性食道破裂の2手術例
林 達彦, 岡田 英, 斎藤 義之, 村上 裕一, 清水 春夫
新潟県厚生連村上総合病院外科
横隔膜正中切開,経裂孔的アプローチが有効と思われた,膿胸,縦隔炎を伴う特発性食道破裂の2手術例を報告する.症例1は77歳の男性.発症7日後に特発性食道破裂,両側膿胸,縦隔炎にて手術施行.開腹,横隔膜正中切開すると,縦隔と両側胸腔に多量の膿と食物残渣の貯留ならびに胸部下部食道左側に約5cmの穿孔を認めた.周囲の食道外膜に広範な壊死が認められたため,経裂孔的食道切除術,頸部食道瘻・胃瘻・空腸瘻造設,両側胸腔と縦隔ドレナージ術を施行した.2期的に胃管による食道再建術を施行.症例2は58歳の男性.発症1日後に特発性食道破裂,右側膿胸,縦隔炎にて手術施行.縦隔と右側胸腔に多量の膿と食物残渣の貯留ならびに胸部下部食道右側に約6cmの穿孔を認めた.穿孔部位を2層縫合,有茎大網弁で同部を被覆し,右側胸腔と縦隔のドレナージ術を施行した.術後19病日に食道造影検査で縫合不全,狭窄を認めず,経口摂取を開始した.
索引用語
spontaneous esophageal rupture, transhiatal thoracic drainage
日消外会誌 35: 1482-1486, 2002
別刷請求先
林 達彦 〒958-8533 村上市田端町2-17 新潟県厚生連村上総合病院外科
受理年月日
2002年5月29日
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