十二指腸濾胞リンパ腫の1切除例

秋山　一郎, 平井　隆二, 村上　正和, 太田　徹哉, 土井原　博義, 安藤　陽夫, 清水　信義

岡山大学医学部付属病院第2外科

　症例は69歳の男性．主訴は血便．内視鏡検査にて十二指腸下行脚の全周性隆起性病変を認め，生検材料の免疫染色にてB細胞系悪性リンパ腫が疑われた．CT，ガリウムシンチグラムの所見では遠隔転移を認めず，根治手術が可能と考え全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した．病変は易出血性で乳頭部から尾側へ長さ5.2cmの全周性．局所リンパ節転移（N1）および膵浸潤を認めMusshoff分類（改変）のStage IIEと診断した．組織学的には濾胞性リンパ腫Grade 1と診断した．補助治療は行わず経過観察中である．十二指腸悪性リンパ腫は極めてまれで治療法や予後についてはなお一定の見解が得られていない．今後，新WHO（World Health Organization）分類に沿った症例の蓄積とともに組織型別，stage別の治療法の予後の検討が必要と思われた．

索引用語
malignant lymphoma of the duodenum, follicular lymphoma, pyrorus preserving pancreaticoduodenectomy

別刷請求先
秋山　一郎　〒700-8558　岡山市鹿田町2-5-1　岡山大学医学部第2外科

受理年月日
2002年5月29日

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