症例報告
32年後に発見された乳児期十二指腸横行結腸吻合術後の1例
木村 豊, 吉川 宣輝, 直居 靖人, 林 太郎, 加藤 健志, 谷川 隆彦, 飯島 正平, 山本 仁, 黒川 英司
箕面市立病院外科
良性疾患に起因する十二指腸結腸瘻はまれな病態で,これまで本邦では22例が報告されている.今回,血清CEA高値を契機に幼少時の手術後32年経過して発見された吻合による医原性十二指腸結腸瘻の1例を経験したので報告する.
症例は32歳の男性で,腹部膨隆,腹部膨満感を主訴として来院した.生後3か月に緊急開腹手術の既往があり,腹壁瘢痕ヘルニアと診断した.術前検査で血清CEAが高値を示し,上部消化管内視鏡検査にて十二指腸結腸瘻と診断し,十二指腸結腸瘻の閉鎖と腹壁瘢痕ヘルニアの修復を目的に手術を行った.十二指腸球部前壁と横行結腸が側々に吻合されており,吻合部を自動吻合器で切離しその前後で結腸を部分切除した.術後経過は良好で血清CEAも正常化した.瘻孔(吻合口)は大きかったが,重篤な栄養障害や発育障害をきたさなかった.
索引用語
iatrogenic duodenocolic fistula, side-to-side duodenocolostomy, high serum CEA
日消外会誌 35: 1502-1506, 2002
別刷請求先
黒川 英司 〒562-8562 箕面市萱野5-7-1 箕面市立病院外科
受理年月日
2002年5月29日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|