症例報告
腎細胞癌大腸転移の1切除例
藤田 晃司, 村井 信二, 中村 明彦, 島津 元秀*
荻窪病院外科, 慶應義塾大学一般・消化器外科*
腎細胞癌に対して腎臓摘出術を施行した後,下行結腸転移をきたし切除可能であった症例を経験したので報告する.症例は59歳の男性.左腎細胞癌に対して腎摘術を施行し,術後の肺転移,膵内転移に対してインターフェロン療法を施行し,2か所の骨転移に対して切除術を施行した.腎摘後5年6か月に下血を認め入院となった.注腸造影X線検査にて下行結腸に1型の腫瘍を認め,大腸内視鏡検査で肛門縁より30cmに腫瘍を認めた.腹部CT検査では造影効果のある内腔に突出した腫瘍を認めた.手術所見は,下行結腸に可動性良好な腫瘍を認め,結腸部分切除を施行した.また,大網と小腸間膜にも多数結節形成を認め,切除した.病理組織学的検索では結腸の腫瘍は腎細胞癌の転移であり,また大網の結節も転移であった.患者は結腸切除後1年を経過したが現在生存中である.最近15年間における本邦での腎細胞癌結腸転移の切除報告例は7例であった.
索引用語
renal cell carcinoma, metastasis, colon
日消外会誌 35: 1526-1530, 2002
別刷請求先
藤田 晃司 〒167-0035 東京都杉並区今川3-1-24 荻窪病院外科
受理年月日
2002年5月29日
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