慢性特発性大腸偽性腸閉塞症の1手術例

牛山　貴文^1）, 山本　眞也^1）, 野田　佳子^2）, 羽場　礼次^3）, 若林　久男^4）, 前場　隆志^4）, 前田　肇^4）

香川県立白鳥病院外科^1）, 同　内科^2）, 香川医科大学病理部^3）, 同　第1外科^4）

　慢性特発性大腸偽腸閉塞症の1切除例を経験した．症例は48歳の男性で，20歳頃より腹部膨満感が出現し徐々に症状が増悪してきたため，当院を受診した．注腸造影・腹部単純X線像で，結腸脾彎曲部から下行結腸に著明な拡張とガス像を認めた．しかし腸管に器質的な閉塞や原因となる基礎疾患は認めなかった．各種薬剤や外来でのネラトンチューブによる排ガスなどの保存的治療を行っていたが，症状がさらに増悪したため手術を施行し，拡張腸管を切除した．病理組織学的には，腸管の拡張部位を主体として固有筋層の菲薄化とAuerbach神経叢の神経節細胞の変性や減少が見られたのみであった．術後は順調に排ガス・排便を認め，術前と比較して食事摂取量は増加し，経過は良好であった．本症は原因不明で本邦での報告例も少なく，若干の文献的考察を加えて報告した．

索引用語
chronic idiopathic pseudoobstruction, colon, colectomy

別刷請求先
牛山　貴文　〒761-0193　高松市新田町乙8　国立療養所高松病院外科

受理年月日
2002年5月29日

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