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第35巻 第9号 2002年9月 [目次] [全文 ( PDF 55KB)]
臨床経験

吸収性クリップを使用した腹腔鏡下胆嚢摘出術の臨床的検討―金属クリップとの比較―

岡田 一幸, 東野 健, 矢野 浩司, 藤田 正一郎, 加納 寿之, 岩澤 卓, 松井 成生, 中野 芳明, 衣田 誠克, 門田 卓士

NTT西日本大阪病院外科

 腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下,LC)後の遺残クリップに関連した合併症の報告がされるようになり,吸収性クリップの特性が注目されている.今回我々は,当院でのLC症例を分析し,その有用性を検討した.まず,過去3年の吸収性クリップ使用209症例と金属クリップ使用72症例の臨床経過を比較した.また,吸収性クリップが使用できなかった23症例の理由を検討した.結果は原疾患,出血量,手術時間,在院日数には有意な差は認めず,胆嚢管・胆嚢動脈断端クリップ数は吸収性クリップ群の方が有意に少なかった.一方,23症例の理由は胆嚢管,胆嚢動脈の露出距離が短かったことであった.吸収性クリップは幅が厚く,胆嚢管などの露出距離が短い症例では用いにくい面もあるが,一般的な症例では安全に用いられ,金属クリップとの比較でも同等以上の臨床経過を示した.したがって,把持力が強く,遺残クリップによる合併症を予防しうる吸収性クリップは有用と思われた.

索引用語
laparoscopic cholecystectomy, absorbable clip, metal clip

日消外会誌 35: 1551-1554, 2002

別刷請求先
岡田 一幸 〒543-8922 大阪市天王寺区烏ヶ辻2-6-40 NTT西日本大阪病院外科

受理年月日
2002年5月29日

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