慢性閉塞性膵炎を伴ったintraluminal duodenal diverticulumの1例

尾形　章, 大野　一英, 升田　吉雄, 遠藤　文夫, 新井　竜夫, 増田　益功, 笹田　和裕

松戸市立病院外科

　症例は18歳の女性．突然の嘔気と上腹部痛を訴えた他院受診し膵炎およびintraluminal duodenal diverticulum（IDD）の診断にて当科紹介，入院となった．上部消化管造影にて十二指腸第2部腔内に約2mmの薄い嚢状の透亮像を認め，MRCPでは腹側膵および背側膵の癒合部位に狭窄と上流膵管の拡張を認めた．1997年8月25日IDDおよび慢性閉塞性膵炎の診断にて十二指腸腔内憩室切除およびRoux-Y吻合による膵管空腸吻合を施行した．IDDに伴う膵炎の報告例は18例認められ，治療として開腹或いは内視鏡的な憩室切除にてIDDおよび膵炎の症状改善がなされている．しかし，自験例のごとき部位の膵管狭窄例は膵液のドレナージを要し膵管空腸吻合を必要とした．腹側膵および背側膵癒合部の狭窄は先天性異常に起因することがほとんどであるとの報告もあり自験例ではIDDおよび膵管不完全癒合の併存の可能性が強く示唆された．

索引用語
intraluminal duodenal diverticulum, chronic obstructive pancreatitis

別刷請求先
尾形　章　〒271-8511　松戸市上本郷4005　松戸市立病院外科

受理年月日
2002年6月25日

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