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第35巻 第11号 2002年11月 [目次] [全文 ( PDF 74KB)]
原著

膵癌治癒切除後の胆汁中CEA値による肝転移予知の可能性

森島 宏隆, 仲原 正明, 今分 茂, 黒住 和史, 城戸 哲夫, 中尾 量保, 辻本 正彦

大阪警察病院外科, 同 病理

 はじめに:膵癌術後の胆汁中CEA値が肝転移再発の予測マーカーとなりうるか否かを検討した.方法:膵癌治癒切除21例を対象とした.肝転移群は13例(6か月以内の早期肝転移群6例,6か月以降の晩期肝転移群7例),非肝転移群は8例であった.術前,術後の胆汁採取は胆管ドレナージチューブより行い,胆汁中CEA値を測定した.結果:病理組織学的諸因子と肝転移再発に相関を認めなかった.術前胆汁中CEA値は,肝転移群(41±89ng/ml),非肝転移群(12±14ng/ml)で有意差を認めなかった.術後胆汁中CEA値は,肝転移群は295±432ng/mlで,非肝転移群の67±62ng/mlより高値の傾向を示した.早期肝転移群7例の術後胆汁中のCEA値は,肝転移群は476±572ng/mlで,非肝転移群に比べて有意に高値であった.また,第14病日と,第28病日の2回にわたって胆汁中CEA値を測定した13例の胆汁中CEA値の推移を検討すると,早期肝転移群は,術後経時的に胆汁中CEA値が増加した.結論:胆汁中CEA値は膵癌術後早期の肝転移再発の予測マーカーとなりうることが示唆された.

索引用語
pancreatic cancer, liver metastasis, biliary CEA, serum CEA

日消外会誌 35: 1644-1648, 2002

別刷請求先
森島 宏隆 〒540-0008 大阪市中央区大手前1-5-34 大手前病院外科

受理年月日
2002年7月24日

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