症例報告
腸回転異常症を伴った胃癌の1例
堀場 隆雄, 山内 晶司, 佐藤 榮作, 中塩 達明, 呉 成浩
公立学校共済組合東海中央病院外科
胃癌を合併した腸回転異常症の1例を経験した.症例は73歳の男性で,全身倦怠感を主訴に来院された.胃内視鏡検査,上部消化管造影,注腸検査,腹部CT検査により,腸回転異常症に伴った胃癌と術前診断した.開腹時,小腸は右腹部に,結腸は左腹部に偏在し,nonrotation typeの腸回転異常症と診断された.胃癌に対し,D2郭清を伴う幽門側胃切除術とBillroth I法再建を行った.腸回転異常症に対して処置は加えなかった.本邦で1993年から1999年までに報告された学童期以降に腸回転異常症と診断された72症例を検討した.その結果,青少年期では14例中13例(93%)が腸回転異常症を含む奇形による腹部症状から発症し,腸回転異常症と診断されていた.中高年期では36例中24例(60%)が虫垂炎や腫瘍が契機となり診断されていた.また,胃切除術を行った腸回転異常症8例の検討では,2例が術後腸軸捻転を来たしていた.
索引用語
intestinal malrotation, gastric cancer, SMV rotation sign
日消外会誌 35: 1649-1653, 2002
別刷請求先
堀場 隆雄 〒504-8601 各務原市蘇原東島町4-6-2 公立学校共済組合東海中央病院
受理年月日
2002年6月25日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|