症例報告
膵体尾部動静脈奇形の1例
藤川 奈実香, 井上 克彦, 金光 敬一郎, 辻 龍也, 平岡 武久, 川筋 道雄
熊本大学医学部第1外科
症例は53歳の男性.突然の上腹部痛を主訴に某院に入院.急性膵炎の診断にて治療を受けていたが症状軽快せず,血管造影にて膵動静脈奇形と診断された.一時症状軽快するが,再び上腹部痛出現し,加療目的で当科に入院となった.腹部造影CTで膵体尾部がenhanceされ,MRI T1強調画像で同部に多数のsignal void signを認め,速い血流の血管の存在が示唆された.カラードップラーエコーでは脾静脈に流入する動脈を認め,血管造影では動脈相で膵体尾部に網目状異常動脈が描出され,同時に門脈と脾静脈も描出された.膵体尾部動静脈奇形と診断し,膵体尾部,脾合併切除を行った.術中血行遮断に伴い門脈圧と門脈血中酸素分圧の低下を認め治療効果が確認できた.
索引用語
pancreatic arteriovenous malformation, portal hypertension
日消外会誌 35: 1678-1682, 2002
別刷請求先
藤川 奈実香 〒860-8556 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第1外科
受理年月日
2002年7月24日
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