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第35巻 第11号 2002年11月 [目次] [全文 ( PDF 97KB)]
症例報告

イレウス症状を呈した小腸腸間膜血管腫の1例

日月 亜紀子, 曽我部 豊志, 西原 承浩, 奥野 匡宥1), 上田 モオセ, 小林 正夫2), 高島 澄夫3), 辻本 正彦4), 湯川 永洋2)

湯川胃腸病院外科1), 同 内科2), 同 放射線科3), 大阪警察病院病理部4)

 症例は,27歳の男性.腸閉塞症状が出現し,近医に入院.骨盤内腫瘤を指摘されたが,症状が軽快したため退院,経過観察を行っていた.腹部全体の痛みが出現するようになり,当院受診となった.CTでは,骨盤内に腫瘤が認められた.MRIでは,骨盤内に膀胱を圧排する.内部不均一で蜂の巣状を呈する約10cm大の腫瘤が認められた.小腸X線造影検査では,回腸に腫瘤による圧排所見が認められたが,粘膜面に異常は認められなかった.以上より,小腸腸間膜腫瘍の診断で,手術を施行した.術中所見では,直径約10cm大の表面凸凹,弾性軟で,易出血性の腫瘤が,回腸末端から約180cmの腸間膜に認められ,骨盤腔内にはまりこんでいた.腫瘤に近接する小腸の合併切除にて腫瘤を摘出した.病理組織学的には,海綿状血管腫と診断された.
 腸間膜原発血管腫の本邦報告例は,自験例を含め21例で,非常にまれな腫瘍である.

索引用語
cavenous hemangioma, mesenteric tumor, ileus

日消外会誌 35: 1688-1692, 2002

別刷請求先
日月 亜紀子 〒543-0003 大阪市天王寺区堂ヶ芝2-10-2 湯川胃腸病院外科

受理年月日
2002年6月25日

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