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第35巻 第11号 2002年11月 [目次] [全文 ( PDF 159KB)]
症例報告

回腸迷入膵の1切除例

森野 茂行, 重政 有, 羽田野 和彦, 碇 秀樹, 清水 輝久, 菅村 洋治, 國崎 忠臣, 米満 伸久

佐世保中央病院外科, 同 病理部

 症例は23歳の女性.平成13年7月4日より腹痛嘔吐が出現し7月7日当院を受診した.触診上,左下腹部に圧痛を伴った鶏卵大腫瘤を触知した.腹部エコー,CT検査において左下腹部にターゲットサインを認め,また上部小腸の拡張を認めた.小腸重積症の診断で高圧注腸を試みたが,整復が困難であったため緊急手術を行った.回腸末端部より90cm口側の回腸が約15cmにわたって重積を起こしており,約40cmの回腸を切除した.重積回腸先進部の粘膜面に径約3cmの腫瘍を認めた.病理組織学的には,粘膜下組織と筋層内に平滑筋組織と混在する導管構造を認め,迷入膵Heinrich分類III型と診断した.迷入膵は胃,十二指腸,空腸などの膵の近傍に好発する疾患で,回腸に発生することは比較的まれである.回腸迷入膵は腸重積を引き起こし発症することが多く,高圧注腸による整復が困難で腸切除を余儀なくされることが多い.発生部位は回腸末端部より100cmまでの下部回腸に好発する.

索引用語
heterotopic pancreas, aberrant pancreas, ileum

日消外会誌 35: 1693-1697, 2002

別刷請求先
森野 茂行 〒852-8501 長崎市坂本1-7-1 長崎大学第1外科

受理年月日
2002年6月25日

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