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第35巻 第11号 2002年11月 [目次] [全文 ( PDF 107KB)]
症例報告

マルチスライスCTより作成した3-D画像が術式決定に有用であった大腸癌肝転移の1例

村田 賢, 吉田 重幸, 山形充佐子*, 立石 秀郎, 本告 正明, 柴田 邦隆, 小林 哲郎

市立池田病院外科, 同 放射線科

 マルチスライスCTより作成した3次元画像が術式決定に有用であった大腸癌肝転移の1例を報告する.症例は63歳の男性.他院で下行結腸癌の手術を受け経過観察中,肝転移を指摘され当院を受診した.肝CT水平断像で腫瘍はS3を中心にS4に進展しており,左葉切除が必要であると考えられた.CT肝動脈造影検査で左肝動脈は左胃動脈より分枝し,これが腫瘍に流入していることが示された.CT門脈造影検査では,腫瘍は門脈P3本幹と離れていることが示された.以上より左肝動脈を切離の後,門脈P3本幹を温存したS3部分切除が妥当であると判断され,これらの画像に推奨された手術が可能であった.近年,低侵襲で多くの情報が得られるマルチスライスCTが普及しつつあるが,肝臓外科領域での有用性についてはあまり報告されていない.本症例に肝切除を行うに際して,マルチスライスCTは適切な術式の決定に有用であった.

索引用語
multislice CT, 3-D image, hepatectomy

日消外会誌 35: 1726-1730, 2002

別刷請求先
村田 賢 〒630-0293 生駒市乙田町1248-1 近畿大学医学部奈良病院外科

受理年月日
2002年7月24日

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