症例報告
メシル酸イマチニブ(Glivec®)が奏効した直腸原発c-Kit陽性gastrointestinal mesenchymal tumorの1例
大森 浩志, 仁尾 義則, 山澤 邦宏, 北村 義則, 小池 誠, 板倉 正幸, 矢野 誠司, 橋本 幸直, 角 昭一郎*, 樋上 哲哉
島根医科大学第1外科, 京都大学再生医科学研究所*
慢性骨髄性白血病の治療薬であるメシル酸イマチニブ(Glivec®)を用い部分寛解PRとQOLの改善を得られた直腸原発c-Kit陽性gastrointestinal mesenchymal tumor(GIMT)症例を経験した.症例は64歳の女性.直腸原発平滑筋肉腫にて低位前方切除術を施行されて以来,腹腔内再発により計5回の腫瘍摘出手術を施行.その後,再発腫瘍による右尿管閉塞をきたしたため,平成14年1月16日入院となった.右尿管閉塞に対してdouble-Jカテーテルを挿入留置した後,メシル酸イマチニブ400mg/日の経口投与を2か月行ったところ,CT画像上評価可能な2個の病変は縮小率62%,70%となり,新病変の出現もないことから部分寛解の状態となった.下腹部痛および腰背部痛は消失し,排便状態および腹部膨満感の改善が認められた.c-Kitの発現が確認できれば,狭義のGIST以外の消化管間葉系腫瘍にもメシル酸イマチニブによる治療が可能である.
索引用語
imatinib mesylate, gastointestinal mesenchymal tumor, c-kit
日消外会誌 35: 1731-1734, 2002
別刷請求先
大森 浩志 〒693-8501 出雲市塩冶町89-1 島根医科大学第1外科
受理年月日
2002年7月24日
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