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第35巻 第12号 2002年12月 [目次] [全文 ( PDF 61KB)]
症例報告

重複胆嚢の1例

石川 慶大, 鈴木 康弘, 高橋 基夫, 挟間 一明, 近藤 哲, 加藤 紘之

新日鐵室蘭総合病院外科, 北海道大学大学院腫瘍外科

 症例は67歳の女性.突然右季肋部痛が出現し,腹部超音波にて胆石症と診断された.入院の上,endoscopic retrograde cholangiopancreatography(以下,ERCPと略記)を施行した結果,GROSS分類H型の重複胆嚢と診断し主胆嚢に対し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後経過は良好で術後6日目に退院した.残存胆嚢の評価目的で術後1年,7年目にそれぞれdrip infused cholangiography(DIC),magnetic resonance cholangiopancreatography(MRCP)を施行したところ,残存胆嚢には明らかな変化は認められなかった.
 重複胆嚢はまれな疾患であり,本邦では自験例を含め65例の報告(剖検例を除く)があるが両側の胆嚢に胆石症を合併しやすいと報告されている.しかし,自験例において胆石は主胆嚢にのみ存在していたため主胆嚢のみ腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.その後,副胆嚢の経過を7年間追跡したが変化は認められなかった.まれに副胆嚢癌の症例も報告されており,残存胆嚢についての確実な追跡調査が必要である.

索引用語
double gallbladder

日消外会誌 35: 1808-1811, 2002

別刷請求先
石川 慶大 〒050-0076 室蘭市知利別町1-45 新日鐵室蘭総合病院外科

受理年月日
2002年7月24日

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