症例報告
肝円索内腫瘍栓を伴った胆管細胞癌と尿管癌の同時性重複癌の1切除例
太田 俊介, 山口 竜三, 中西 賢一, 田近 徹也, 堀 明洋
高山久美愛病院外科
肝円索に腫瘍栓が進展した胆管細胞癌と尿管癌の同時性重複癌を経験した.症例は71歳の男性.検診での尿潜血陽性を契機として受診し,腹部超音波検査で肝腫瘍を指摘された.肝腫瘍は肝内側区域を主占居部位とし,径5cmの大きさであった.画像診断で左胆管および左門脈浸潤を認めた.また,右尿管に乳頭状腫瘍を認めた.肝拡大左葉切除,尾状葉全切除,門脈合併切除および右腎・尿管切除を施行した.病理組織学的に肝腫瘍は胆管細胞癌で,尿管腫瘍は移行上皮癌であった.胆管細胞癌は中分化型腺癌でリンパ節転移は認めなかった.門脈内に腫瘍栓を認め,肝円索内に2cm進展していた.術後経過は順調だったが,術後12カ月で残肝再発のため死亡した.
索引用語
cholangiocellular carcinoma, double cancer, tumor thrombus
日消外会誌 35: 1812-1816, 2002
別刷請求先
太田 俊介 〒455-8530 名古屋市港区港明1-10-6 中部労災病院外科
受理年月日
2002年9月25日
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