症例報告
糖尿病患者に生じた胃石による腸閉塞の1例
篠原 知明, 高西 喜重郎, 由里 樹生, 南 智仁
東京都立府中病院外科
症例は62歳の女性.10年前検診で高血糖を指摘され,3年前網膜症を合併した糖尿病と診断される.嘔気嘔吐を主訴に紹介となり精査中に腸閉塞を発症した.腹壁から移動性のある鶏卵大の腫瘤を触知,超音波で強い音響陰影を伴う長径5cm大の高エコー腫瘤を認めた.CTでは拡張した小腸ループの末端に多量のガスを含んだ海綿状腫瘤を認めた.臨床所見および画像診断から胃石によるイレウスと診断した.1週間の腸管減圧後待期的に開腹手術を行った.トライツ靭帯から120cmの空腸内に嵌頓する硬い腫瘤を認め切開摘出後腸切除を行った.術後の問診と結石分析でタンニンを主成分とする柿石と診断した.胃石生成に糖尿病の関与が疑われたまれな症例であったため,本邦報告例と併せて報告した.
索引用語
bezoar, small bowel obstruction, diabetes mellitus
日消外会誌 35: 1826-1830, 2002
別刷請求先
篠原 知明 〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科学教室
受理年月日
2002年9月25日
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