症例報告
麻痺性イレウスに伴った腸管嚢腫様気腫症の1例
関根 祐樹, 高津 尚子, 福沢 太一, 河合 賢朗, 楠田 和幸, 鈴木 雄, 遠藤 義洋, 北村 道彦
岩手県立胆沢病院外科
症例は67歳の男性で,糖尿病,高血圧,精神分裂病にて治療中であった.嘔気,食欲不振を主訴に来院.著明な腹部膨満あり.WBC 8,300/μ1,CRP 12mg/dl,Cr 2.4mg/dl,BS 324mg/dl.単純X線では遊離ガス,niveauを伴う拡張した小腸を,CTでは遊離ガス,腸管壁・腸間膜内ガスを認めた.緊急手術施行し,下部小腸に腸管壁・腸間膜内気腫を認めた.原因は腸管内圧上昇と判断し,イレウスチューブ挿入,腸内容排除後,留置した.術後経過良好で退院.本症は腸管壁内に多数の嚢腫様気腫を形成するまれな疾患である.原因は,腸管内圧上昇,腸管虚血,慢性肺疾患,薬剤性などと多彩である.治療は保存的療法が原則であるが,腸管虚血によるものなどは緊急手術が必要とされている.本症例では炎症反応陽性で,Cr値の上昇を伴い,糖尿病を合併しており腹部所見の信頼性が低いことを考慮し,緊急手術を施行した.
索引用語
pneumatosis cystoides intestinalis, free air, ileus
日消外会誌 35: 1831-1834, 2002
別刷請求先
関根 祐樹 〒023-0864 水沢市字龍ヶ馬場61 岩手県立胆沢病院外科
受理年月日
2002年9月25日
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