症例報告
大網原発類上皮血管内皮腫の1例
寺島 秀夫, 斎藤 昌宏*, 高橋 さつき*, 平山 克
平鹿総合病院外科, 同 病理診断科*
まれな大網原発類上皮血管内皮腫の1例を報告する.症例は58歳の女性で,臍周囲の不快感を主訴に来院した.約5cmの弾性軟な腫瘤が臍周囲で腹壁に近く触知された.精査により原発性腹膜腫瘍が疑われたが,呼吸性移動を示すことから特に大網由来の可能性が考えられた.1999年11月22日に手術が施行された.腫瘍は明らかに大網内に存在し,胃壁と固着しており,胃壁を部分切除し腫瘍の完全摘出を施行した.光顕像では,腫瘍は類上皮血管内皮腫に一致する特徴を有し胃筋層へ浸潤していた.免疫組織化学染色では,血管内皮系マーカー(CD34,F-VIII)が一部陽性を示した.以上より,大網から原発した類上皮血管内皮腫と診断された.術後経過は順調で,30か月後も再発を認めていない.
大網原発類上皮血管内皮腫に関して英語文献検索を行ったところ,過去の報告は1例のみであり,極めてまれである.
索引用語
epitheloid hemangioendothelioma, greater omentum
日消外会誌 35: 1848-1851, 2002
別刷請求先
寺島 秀夫 〒013-8610 横手市駅前町1-30 平鹿総合病院外科
受理年月日
2002年9月25日
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