十二指腸に嵌頓しball valve syndromeを呈した胃底部平滑筋肉腫の1例

吉山　繁幸, 問山　裕二, 荒木　俊光, 松本　収生^＊, 嶋　廣一^＊, 三木　誓雄, 楠　正人

三重大学医学部第2外科, 新宮市立医療センター外科^＊

　胃の腫瘍性病変が十二指腸に脱出し，幽門を閉塞する病態は，Ball valve syndromeと定義される．今回我々は，胃底部に発生し，十二指腸に脱出，嵌頓し，その後自然脱落した平滑筋肉腫の1例を経験したのでその概要を報告する．患者は65歳の男性．突然の嘔吐にて発症し，入院精査中，突然の大量下血を来し，ショックとなり，内視鏡にて胃底部の腫瘍の十二指腸への脱出，嵌頓に伴う部分的な自然脱落により大量胃出血を来したと判断した．残存している腫瘍を含めた胃部分切除を行った．切除標本の病理診断では平滑筋肉腫であった．術後経過は良好であり，現在，再発兆候を認めない．

索引用語
leiomyosarcoma of the stomach, intussusception, ball valve syndrome

別刷請求先
吉山　繁幸　〒514-8507　津市江戸橋2-174　三重大学医学部第2外科

受理年月日
2002年9月25日

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