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第36巻 第1号 2003年1月 [目次] [全文 ( PDF 118KB)]
症例報告

増大傾向を呈した胆嚢嚢胞の1例

青柳 信嘉, 渡辺 稔, 平石 守, 飯塚 一郎, 長谷川 重夫

国立精神神経センター国府台病院外科

 経過観察中に増大傾向を呈し,胆嚢摘出により除去しえた胆嚢嚢胞の1例を報告する.症例は80歳の男性で,胃癌術後の経過観察中に胆嚢底部に径8mmの嚢胞性小隆起性病変を指摘された.この嚢胞性病変は1年の経過観察にて径13mmと増大した.診断的治療として胆嚢摘出術が施行された.標本では胆嚢底部に径13mmの単房性嚢胞を認め,内腔は黄白色の粘液で満たされていた.組織学的には嚢胞内面は1層の円柱~立方上皮でおおわれており,外面の胆嚢粘膜は軽度の炎症所見のみで,異型性を認めなかった.周囲にRokitansky-Aschoff sinus(以下,RASと略記)の散在を認め,RASの閉塞による貯留嚢胞と考えられた.胆嚢嚢胞はまれな疾患であるが,超音波機器の性能が向上した近年では報告例も増えつつあり,胆嚢の小隆起性病変の鑑別診断として念頭におく必要があると考えられた.

索引用語
gallbladder cyst, ultrasonography, growing tendency

日消外会誌 36: 23-27, 2003

別刷請求先
青柳 信嘉 〒272-8516 市川市国府台1-7-1 国立精神神経センター国府台病院外科

受理年月日
2002年9月25日

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