症例報告
空腸カルチノイド腫瘍の1例
名取 志保, 長田 俊一, 亀田 久仁郎, 久保 章, 竹川 義則*, 嶋田 紘**
横須賀市立市民病院外科, 同 病理科*
横浜市立大学医学部第2外科**
症例は73歳の男性.2001年12月25日左側腹部痛を主訴に当院内科を受診した.来院時左側腹部に,圧痛と腹膜刺激症状を認め,左側結腸憩室炎の疑いで外科に入院した.入院時の腹部CTで左側腹部に腸管壁の肥厚像と周囲のけば立ちを認めた.絶飲食,抗生物質による治療で炎症所見は改善したが,間歇的な腹痛発作が遷延し,CT所見で腫瘤性病変を認めたため,2002年1月8日手術を行った.術中所見で,Treitz靭帯より50cmの空腸に6cm大の腫瘤性病変と,その腸間膜側に径4cm大のリンパ節を認め小腸部分切除術を行った.空腸の腫瘍は3型で,深達度se,リンパ節転移を伴うカルチノイド腫瘍と診断された.術後早期に,リンパ節再発によると考えられる間歇的な腹痛発作が再燃し,全身状態が衰弱して4月27日死亡した.空腸原発のカルチノイドは本邦ではまれであり,文献的考察を加え報告した.
索引用語
carcinoid tumor, lymph node metastasis of the jejunal carcinoid, jejunal tumor
別刷請求先
名取 志保 〒240-0195 横須賀市長坂1-3-2 横須賀市立市民病院外科
受理年月日
2002年9月25日
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