症例報告
腸重積を伴い腸間膜原発と考えられた悪性リンパ腫の1例
藤田 晃司, 村井 信二, 中村 明彦, 島津 元秀*
荻窪病院外科, 慶應義塾大学一般・消化器外科*
腸間膜原発悪性リンパ腫は予後不良とされる.腸重積を伴い腸間膜原発と考えられた悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する.症例は56歳の男性.腹部違和感を主訴に受診し,大腸内視鏡検査で回盲部に粘膜下腫瘍を認めた.腹部CT検査で臍上部左側に径10cmの腫瘍と右下腹部に腸重積を伴った径4cmの腫瘍2個を認めた.GaシンチグラフィーもCTと同様の部位に著明な取り込みを認めた.腸重積を伴った腸間膜リンパ腫の診断にて手術となった.空腸と回盲部の2個を切除し,トライツ靭帯付近の腫瘍は残存し,完全切除は施行できなかった.病理組織診断はB細胞型濾胞性悪性リンパ腫であった.術後CHOP療法を開始しCRが得られたが,術後1年8か月で再燃を認めたためVeMP療法による化学療法を再開した.術後1年10か月の現在生存中であり,手術と化学療法により比較的長期生存が得られていると考えられた.
索引用語
malignant lymphoma, mesenterium, intussusception
別刷請求先
藤田 晃司 〒167-0035 東京都杉並区今川3-1-24 荻窪病院外科
受理年月日
2002年9月25日
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