症例報告
急性膵炎で発症した小腸間膜異所性膵組織の1例
金子 猛, 磯部 潔, 笠原 正男*
静岡赤十字病院外科, 同 中央検査部病理*
術前腹部CTで石灰化を伴う小腸腫瘤性病変を認め,開腹手術で小腸間膜に異所性膵組織を認めた1例を報告する.症例は54歳の男性.1996年9月25日より腹痛出現し,入院精査で小腸に石灰化を伴う腫瘤性病変をCTで認めた.保存的治療で腹痛軽快するが,2週間後のCTでも縮小した腫瘤性病変を小腸に認めた.小腸造影では異常所見を認めなかった.1996年11月7日,再び腹痛が出現し救急外来受診.CTでは前回と同様に小腸壁の肥厚と石灰化病変を認めた.開腹手術を施行し,トライツ靱帯より50cm肛門側に,小腸に接する小腸間膜内に4cm大の腫瘤性病変を認めた.小腸とともに切除した.H.E. 染色および特殊染色において腺房組織,導管とランゲルハンス島を検索され,Heinrich I型の異所性膵組織と診断された.好酸球浸潤を認め,異所性膵組織が膵炎を引き起こしたものと考えられた.
索引用語
aberrant pancreas, acute pancreatitis, abdominal CT
別刷請求先
金子 猛 〒430-8525 浜松市将監町25 浜松労災病院外科
受理年月日
2002年9月25日
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