症例報告
両側卵巣転移によりMeigs症候群を呈した上行結腸癌の1例
小林 靖幸, 戸田 央, 大場 宗徳, 中谷 雄三
聖隷浜松病院外科
症例は48歳の女性.近医で両側卵巣腫瘍・腹水を指摘され当院入院となった.CTにて両側卵巣に多房性腫瘤を認め,転移性卵巣腫瘍が疑われたため,消化管の精査を行ったところ上行結腸癌を指摘された.その後両側胸水出現したため胸・腹水細胞診行ったが,いずれも陰性であった.臨床所見より癌性胸腹膜炎の可能性が高いと診断し,化学療法施行後手術を行った.開腹時両側卵巣に15cm大の多房性腫瘍を認め,両側卵巣切除・単純子宮全摘,上行結腸癌に対しては右半結腸切除(D3)を施行した.術中腹水細胞診は陰性であった.病理組織検査では原発巣は高分化腺癌で,卵巣腫瘍は転移性腫瘍であった.11病日に胸水は消失し,両側卵巣転移によるMeigs症候群と診断した.消化管腫瘍の卵巣転移によるMeigs症候群は非常にまれであるが,診断・治療に当たってはその可能性を考えた積極的な精査を行うことが大切である.
索引用語
Meigs' syndrome, ascending colon cancer, ovarian metastasis
別刷請求先
小林 靖幸 〒430-0906 浜松市住吉2-12-12 聖隷浜松病院外科
受理年月日
2002年10月30日
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