症例報告
非中毒性巨大結腸症を呈したクローン病の1例
保田 尚邦, 渡辺 誠, 田中 啓貴, 斎藤 加奈, 渡辺 健一, 神坂 幸次, 樋渡 克俊, 草野 満夫*
伊勢崎市民病院外科, 昭和大学一般・消化器外科*
症例は25歳の男性で,1990年2月に当院内科で小腸大腸型のクローン病と診断されていた.2000年3月22日,腹痛と腹満を主訴に来院した.入院時現症では発熱や頻脈などの中毒性所見は認めず,腹部所見では臍左側を中心に圧痛を認めるも腹膜刺激症状は認めなかった.注腸検査にて横行結腸から下行結腸を中心に拡張した腸管を認めた.保存的治療に抵抗性のため手術を施行した.手術所見では,右側結腸の著しい短縮を認め,横行結腸と下行結腸を中心に巨大結腸が認められたため,結腸全摘術を施行した.また,小腸狭窄を認め40cmの小腸を部分切除した.さらに,5時方向に2次口のある痔瘻を認めたためLay openを施行した.非中毒性巨大結腸症に対しても厳重に臨床症状をモニターリングし,保存的療法が無効であれば外科治療を考慮するべきと考えられた.小腸狭窄,痔瘻と非中毒性巨大結腸症を呈したクローン病の1例を経験したので報告した.
索引用語
nontoxic megacolon, Crohn's disease
別刷請求先
保田 尚邦 〒372-0812 伊勢崎市連取町1180 伊勢崎市民病院外科
受理年月日
2002年10月30日
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