症例報告
直腸,膀胱の合併切除を要した骨盤腔内原発巨大hemangiopericytomaの1例
藤井 祐三1)2), 柳衛 宏宣1)3), 長谷部 浩亨1), 吉崎 巌1), 江里口 正純1)3)
東京大学医科学研究所付属病院外科1)(現, 聖ヶ丘病院外科2), 東京大学先端技術研究所3))
症例は18歳の男性,下腹部腫瘤と頻尿を主訴に来院.下腹部正中に小児頭大の無痛性で可動性不良の硬い腫瘤を触知した.エコー,CT,MRI,注腸造影にて左尿管の途絶,左水腎症,直腸狭窄像を呈し,骨盤腔内に最大径18cmの充実性腫瘍を認めた.血管造影では血管に富む腫瘍を認め,左閉鎖動脈と上直腸動脈に栄養されていた.術前腫瘍塞栓術を施行し,腫瘍とともに左尿管,膀胱,左精嚢,直腸を合併切除した.再建は,左尿管と膀胱との間にS状結腸を間置し,直腸は低位前方切除とした.摘出標本では大小さまざまな不規則な血管腔の周囲に紡錘形の細胞の増生を認め,分裂像や核異型性に乏しく低悪性度のhemangiopericytomaであった.術後6年,再発転移を認めていない.本疾患は病理組織像のみからでは良悪性の鑑別が困難であり,今後とも長期にわたる経過観察が必要と思われる.
索引用語
hemangiopericytoma, pelvic tumor, urinary reconstruction
別刷請求先
藤井 祐三 〒206-0021 多摩市連光寺2-69-6 聖ヶ丘病院外科
受理年月日
2002年10月30日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|