症例報告
十二指腸乳頭部癌に対する膵頭十二指腸切除術後15年後に残存尾側膵切除を行った膵癌の1例
鈴村 潔, 山口 晃弘, 磯谷 正敏, 渡邉 芳夫, 金岡 祐次, 鈴木 正彦, 菅原 元
大垣市民病院外科
十二指腸乳頭部癌に対する膵頭十二指腸切除後15年後に残存尾側膵に発生した膵癌に対し残膵全摘術を行った1例を報告した.
症例は70歳の女性で,1983年4月に十二指腸乳頭部癌に対して膵頭十二指腸切除術を行っている.1997年6月頃から,心窩部痛,背部痛が出現し,CT,MRIで膵空腸吻合部を中心に腫瘤像を認め,腫瘍マーカーの上昇を認めた.CTガイド下生検で悪性所見が得られず,経過観察していたところ腫瘤の増大を認めた.その後の検査の結果残膵に発生した膵癌と診断し1998年8月,残膵全摘術,脾摘出術を行った.腫瘤は組織学的にpapillary adenocarcinomaと診断した.本症例は膵頭十二指腸切除術後15年を経過していること,初回切除時の病理組織学的所見で膵断端に癌細胞や異型細胞を認めなかったことから異時性重複癌の可能性が高いと考えられた.
索引用語
pancreatoduodenectomy, remnant pancreatic cancer, carcinoma of Vater's papilla
別刷請求先
鈴村 潔 〒503-8502 大垣市南頬町4-86 大垣市民病院外科
受理年月日
2002年11月27日
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