症例報告
直腸内分泌細胞癌の1例
辻江 正徳, 柴田 信博, 野村 孝, 奥田 博, 竹田 雅司*
八尾市立病院外科, *同 病理科
症例は61歳の女性.下腹部不快感を主訴に近医受診し,便潜血陽性のため当院を紹介された.大腸内視鏡検査にて直腸に隆起性病変を認め,生検にて腺癌と診断した.MRIでは,腸管壁外へ充実性に発育する粘膜下腫瘍様の形態を示していた.子宮および回腸に浸潤していたため,前方切除術,子宮・両側付属器合併切除と回腸部分切除を行った.病理組織では腫瘍の大部分を占める内分泌細胞癌の表層に分化型腺癌の小巣が数カ所併存しており,さらに内分泌細胞癌の中にカルチノイド腫瘍様の像を示す部位が見られた.患者は多発肝転移,大動脈周囲リンパ節転移および局所再発のため術後5か月で死亡した.内分泌細胞癌は高率に粘膜内に分化型腺癌を有しているが,本例のようにカルチノイド腫瘍に類似した組織の混在はまれであるので報告した.
索引用語
endocrine cell carcinoma of the rectum
別刷請求先
辻江 正徳 〒565-0871 吹田市山田丘2-2,E2 大阪大学大学院病態制御外科
受理年月日
2002年11月27日
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