症例報告
異時性肝転移を来たした有茎性胃壁外発育型gastrointestinal stromal tumorの1例
河内 康博, 重田 匡利, 井口 智浩, 友近 忍, 中尾 光宏, 藤田 雄司, 宮原 誠, 久保 秀文, 長谷川 博康, 宮下 洋
社会保険徳山中央病院外科
症例は61歳の男性.腹部膨満感を主訴に当院受診し,腹部超音波およびCT検査で腹部腫瘤を認めた.消化管検査では著変なく,腹部MRIで6×4cmのsarcomaが疑われた.腹部血管造影で呼吸性移動を伴う左胃動脈を栄養血管とするhypervascular tumorを認めた.手術所見では,表面不整,大きさ11×7×6cmの有茎性の腫瘍が胃大彎側後壁より壁外性に発育していた.胃局所切除を行い,免疫組織学的検討(CD34,Vimentin,筋原性および神経原性マーカー陽性)により胃固有筋層から発生したgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.核分裂像に乏しく病理学的には明らかな悪性所見を認めなかった.術後1年目に多発性肝腫瘍を認め,肝右葉+S4部分切除術を施行し,病理組織学的にGISTの多発性肝転移と診断された.肝切術後6か月の現在再発なく生存中である.
別刷請求先
河内 康博 〒745-8522 徳山市孝田町1-1 社会保険徳山中央病院外科
受理年月日
2002年11月27日
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