症例報告
腹腔鏡下に整復したS状結腸間膜内ヘルニア
渡部 通章, 三森 教雄, 志田 敦男, 吉田 達也*, 篠田 知太朗*, 川野 勧*, 栗原 健*, 羽田 丈紀*, 山崎 洋次
東京慈恵会医科大学外科, 神奈川県立厚木病院外科*
68歳の男性.下腹部痛,悪心,嘔吐を主訴に受診し,開腹歴のない初回腸閉塞の診断で入院した.絞扼性イレウスの徴候なくイレウス管を挿入し保存的に経過観察した.イレウス管造影では,左下腹部に閉塞部位が確認され.保存的な治療で腸閉塞は解除されないために内ヘルニアや炎症性癒着を疑われ,15日目に待期的に腹腔鏡下イレウス解除術が施行された.S状結腸間膜外側葉に欠損部があり,ここより腸間膜内に小腸が約10cm陥入していた.腹腔鏡下に嵌頓した小腸を整復し,ヘルニア門を縫合閉鎖した.腸管切除は施行しなかった.本邦ではS状結腸間膜ヘルニアは本症例で59例目であり,外側葉欠損型としては8例目の報告である.この貴重な症例に対する腹腔鏡下ヘルニア整復術の経験を報告するとともに内ヘルニアに対しても積極的に腹腔鏡を使用することを提言したい.今後は内ヘルニアを含めた腸閉塞に対しての腹腔鏡下手術の適応の確立が急務である.
別刷請求先
渡部 通章 〒105-8461 東京都港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学
受理年月日
2002年12月18日
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