症例報告
バルーン拡張術時に穿孔を生じ緊急手術を行った食道アカラシアの1例
米山 文彦, 小林 陽一郎, 宮田 完志, 太田 英正, 竹内 英司, 山田 達治
名古屋第一赤十字病院外科
症例は56歳の女性.10年来ときどき食後の嘔吐があり,平成10年2月ころより嚥下困難,胸痛が増強し食道アカラシアの疑いで近医より当科に紹介された.食道造影上紡錘型2度の食道拡張像を示していた,内圧検査上もアカラシアとして典型的な所見でバルーン拡張術を行った.この直後の造影では食道損傷の所見は認めなかったが,通過障害の改善が得られなかったため4日後に再度拡張術を行った.拡張時に胸痛の訴えがあり,直後の造影で下部食道左側より造影剤の漏出を認め食道穿孔と診断した.当日は保存的に経過をみたが翌日縦隔気腫の所見があり緊急手術を行った.開腹経食道裂孔的に下縦隔に達し食道左壁の穿孔部を確認したところ,組織の挫滅汚染は軽度であったため穿孔部を縫合し縦隔のドレナージを行った.術後経過は良好で通過障害はなく経口摂取が可能である.
索引用語
esophageal achalasia, balloon dilation, esophageal rupture
別刷請求先
米山 文彦 〒453-8511 名古屋市中村区道下町3-35 名古屋第一赤十字病院外科
受理年月日
2003年1月22日
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