腹部鈍的外傷による胃完全離断の1例

中村　俊幸, 三澤　良輔, 町田　泰一, 中田　伸司, 袖山　治嗣, 若林　正夫

長野赤十字病院外科

　症例は54歳の男性．木材による腹部打撲にて近医を受診した．ショック状態を呈し，当院救急外来へ搬送された．来院時意識清明，収縮期血圧70mmHg，脈拍40/min，腹部は板状硬で，強い圧痛を認めた．腹部超音波検査で胃壁は不連続で，腹部CT検査でも前庭部の壁の不連続と，同部から肝下面にかけて血液と思われる液体の貯留を認めた．胃損傷の診断で緊急手術を施行した．胃は前庭部で完全離断となっており，十二指腸下行脚背側にも穿孔を認めた．膵胆管系に損傷のないことを確認し，十二指腸は直接縫合閉鎖とした．胃に対しては幽門側胃切除を行い，Billroth II法にて再建した．

索引用語
transection of stomach, abdominal blunt trauma, gastric rupture

別刷請求先
中村　俊幸　〒399-8701　松本市芳川村井町1209　国立松本病院外科

受理年月日
2002年12月18日

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