症例報告
Nissenのfundoplication術後患者に発症した成人特発性胃破裂の1例
土居 幸司, 荻原 菜緒, 永縄 俊博, 高田 英輝, 中塩 達明, 佐藤 榮作, 山内 晶司
公立学校共済組合東海中央病院外科
Nissenのfundoplicationは,逆流性食道炎を伴う食道裂孔ヘルニアなどに対し広く行われてきた手術法であるが,その後に胃破裂を来したという報告は少ない.今回我々はNissenのfundoplication術後に胃破裂を来した症例を経験したので報告する.症例は60歳の男性.約3年前に食道裂孔ヘルニアに対しNissenのfundoplicationを受けている.腹痛と腹部膨満感にて当院受診.来院時の腹部X線検査にて胃の著明な拡張を認めたが,処置中に突然,腹部の激痛を訴え,再度のX線検査にて多量のfree airを認めたため胃破裂と診断.緊急開腹手術を行ったところ,胃小彎側が破裂しており,腹腔内には食物残渣とともに可燃性のガスが貯留していた.何らかの原因により胃腸の通過障害が起こり,停滞した食物残渣からガスが発生したが,fundoplicationの逆流防止機構により内圧が上昇し,胃破裂に至ったと考えられた.
索引用語
Nissen's fundoplication, spontanous rupture of the stomach
別刷請求先
土居 幸司 〒504-8601 各務原市蘇原東島町4-6-2 東海中央病院外科
受理年月日
2002年11月27日
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