症例報告
超高齢者の原発性小腸軸捻転症の2例
松澤 克典1), 笹本 信幸1), 松澤 信五2), 関根 智久3), 板橋 浩一4), 柿田 章4)
小白川至誠堂病院外科1), 至誠堂総合病院外科2), 高野せきねクリニック3), 北里大学外科4)
癒着や腸回転異常などに起因しない原発性小腸軸捻転症は,本邦では極めてまれである.今回85歳以上の超高齢者原発性小腸軸捻転症の2例を経験した.【症例1】85歳の男性.突然の腹部激痛が出現し,腹部超音波で著明な腹水と動脈血液ガスで強度の代謝性アシドーシスを認め緊急手術を施行した.SMA根部付近で小腸が時計回りに360°捻転しており,壊死腸管を切除し経過は良好だった.【症例2】92歳の女性で完全内臓逆位あり.血液データではアシドーシスなど異常を認めず,腹部も柔らかだったが,腹部超音波,CTで腹水と拡張腸管を認め,また腹痛の訴えも強く緊急手術を施行した.トライツ靱帯から1m80cmの部分より小腸が時計回りに360°捻転しており,壊死腸管を切除し現在全身状態は良好である.高齢者では小腸軸捻転症でも,臨床症状や検査所見が軽度であることが珍しくなく本症も念頭におくべきである.
索引用語
primary volvulus of the small intestine in elderly patients
別刷請求先
松澤 克典 〒990-0034 山形市東原町1-12-26 小白川至誠堂病院外科
受理年月日
2003年1月22日
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