症例報告
術前大腸内視鏡で瘻孔を確認しえたS状結腸癌による空腸結腸瘻の1例
野村 昌哉, 宗田 滋夫, 井上 善文, 吉川 幸伸, 文元 雄一, 横谷 仁彦
日本生命済生会附属日生病院外科
症例は68歳の男性.下痢,労作時呼吸困難を主訴に当科受診.注腸造影でS状結腸から直接小腸が造影され,大腸内視鏡検査にて瘻孔を確認することができた.S状結腸癌に伴う小腸瘻と診断しS状結腸切除(D2郭清),瘻孔を含めた空腸部分切除を施行した.径6.5cmのS状結腸腫瘍がTreitz靱帯から75cm肛門側の空腸に瘻孔を形成していた.病理組織学的には大腸の高分化腺癌であり,進行度はstage IIIa(si)であった.術後18か月目の時点で再発の徴候は認めていない.
結腸癌による空腸結腸瘻はまれで,本邦では自験例を含め18例のみであったが,S状結腸原発は自験例のみであった.本疾患は隣接臓器への浸潤例であるが,瘻孔を形成した空腸の合併切除により良好な予後が期待できると考えられた.
索引用語
colon cancer, jejunocolic fistula, internal fitula
別刷請求先
野村 昌哉 〒550-0012 大阪市西区立売堀6-3-8 日本生命済生会附属日生病院外科
受理年月日
2003年1月22日
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