症例報告
急速増大し多彩な組織像を呈したG-CSF産生“いわゆる食道癌肉腫”の1例
浅井 浩司1)2), 五十嵐 誠治1), 清水 秀昭2), 宮田 博志2), 堀口 潤3)
栃木県立がんセンター臨床検査部病理1), 同 外科2), 同 画像診断部3)
症例は60歳の男性.胸部つかえ感を主訴に近医を受診.食道癌の診断で当センター紹介入院となった.入院時白血球数は12,400/mm3と高値であった.入院後,術前化学療法を施行したが,白血球はさらに上昇し22,200/mm3に達した.血中G-CSF値も120pg/mlと高値であった.化学療法後の評価では,腫瘍径は1か月間で約4倍に増大したことから1コースで終了,食道亜全摘術を施行した.病理組織学的所見は腫瘤部分ではいわゆる癌肉腫,茎の部分では腺癌,基部では類基底細胞癌の組織像を認めた.術後白血球数は徐々に低下し,またG-CSFも25pg/mlと低下した.抗G-CSF抗体を用いた免疫染色でも腫瘤部分で陽性であり,G-CSF産生腫瘍と診断した.短期間で急速増大し,このように多彩な組織像を呈したG-CSF産生性“いわゆる食道癌肉腫”の報告例はなく極めてまれな症例であると考えられた.
索引用語
granulocyte-colony stimulating factor-producing tumor, carcinosarcoma of the esophagus, basaloid carcinoma
別刷請求先
浅井 浩司 〒320-0834 宇都宮市陽南4-9-13 栃木県立がんセンター
受理年月日
2003年2月26日
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