症例報告
Aeromonas hydrophila感染症にて胃癌術後に電撃的な経過をたどった1例
酒田 和也, 池田 義和, 森 匡, 岡本 公子, 出口 寛, 中川 勝裕, 安光 勉
大阪府立羽曳野病院外科
患者は72歳の女性.胃癌の診断にて胃全摘術施行.術翌日に敗血症性ショック・ARDSが出現し全身状態も急速に悪化した.当初感染源は不明であったが,腹満,下痢に続いて,腹部皮膚の壊死性変化や胸壁の皮下気腫を生じた.集中治療を行うも術後3日目に死亡したが,術後2日目に採取した検体からAeromonas hydrophilaが検出された.院内感染を疑い,病院環境調査を実施したが,患者由来と同一の菌株は検出されず,感染経路は特定できなかった.同菌は食中毒の原因となることがあるが,自験例のごとく敗血症から電撃的な経過をたどる症例も本邦で過去15年間に31例報告されている.なかでも術後の感染例はまれではあるが,発症すると致死的で,外科手術の際にはその存在と危険性を念頭に置く必要があると考えられる.
索引用語
Aeromonas, sepsis, postoperative infection
別刷請求先
酒田 和也 〒583-8588 羽曳野市はびきの3-7-1 大阪府立羽曳野病院外科
受理年月日
2003年2月26日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|