症例報告
保存的治療が奏効した腹壁に穿破した遅発性外傷性下行結腸穿孔の1例
太平 周作, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 坂本 英至, 伊神 剛, 森 俊治, 服部 弘太郎, 水野 隆史, 杉本 昌之, 深見 保之
名古屋第二赤十字病院外科
遅発性外傷性腸管穿孔は非常にまれで,腸間膜動脈の血行障害による腸管の虚血が原因と言われている.今回われわれは受傷後13日目に穿孔した下行結腸が体表面へ穿破し,ドレナージによる保存的治療で治癒できた症例を経験したので報告する.症例は31歳の男性.交通外傷のため当院へ搬送された.腹部に広範囲な熱傷を認め,植皮術を行った.第13病日左側腹部の植皮部より便汁様の滲出液を認めた.同部位より造影を行うと,下行結腸と思われる腸管との交通を認めた.腹部全体に及ぶ熱傷のため開腹手術による治療は困難と判断し,ドレーンを挿入し持続吸引を行い保存的治療を行った.第109病日瘻孔の閉鎖を確認した.瘻孔の閉鎖に長期間を要したが,本症例のような場合,確実なドレナージによる治療法も一つの選択肢として考慮されるべきである.
索引用語
delayed intestinal tract perforation, blunt abdominal trauma, penetration to the abdominal wall
別刷請求先
太平 周作 〒466-8650 名古屋市昭和区妙見町2-9 名古屋第二赤十字病院外科
受理年月日
2003年2月26日
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