症例報告
食道癌術後再建胃管に胃石を認めた2症例
田部 周市, 宮崎 修吉, 大原 秀一*, 菅原 浩, 宮田 剛, 里見 進
東北大学大学院医学系研究科外科病態学講座先進外科分野
同 内科病態学講座消化器病態学分野*
胃切後残胃の胃石は報告されているが,食道癌術後再建胃管に発生した胃石の報告はない.胸部食道癌術後再建胃管の胃石症例で,出血性胃管潰瘍を合併した1例と,胃管癌を合併した1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
症例1は55歳の男性.昭和63年食道癌にて手術を施行.平成10年10月から時折心窩部痛,黒色便あり,同年12月30日貧血にて緊急入院となった.内視鏡検査にて胃管内に胃石と潰瘍を認めた.内視鏡下に胃石の破砕術を施行し,潰瘍も治癒した.症例2は56歳の男性.昭和60年食道癌にて手術を施行.平成元年9月頃より胸部不快感が出現し,同年11月30日食道透視にて胃石および幽門狭窄を認めた.内視鏡検査にて胃管癌と診断,平成2年3月開腹手術を施行するも癌性腹膜炎で切除不能であった.2症例とも残存病変を伴っており,胃管胃石では併存病変を念頭に置き治療を進めることが重要であると考えられる.
索引用語
stomach tube bezoar, esophagectomy, cancer of the stomach tube
日消外会誌 36: 1264-1268, 2003
別刷請求先
田部 周市 〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1-1 東北大学大学院先進外科分野
受理年月日
2003年3月26日
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